スーツの基本02:ジャケット編

スーツの基本 ジャケット編
スーツの基本 ジャケット編

ジャケットのボタン数について

2つボタンシングル

2つボタン

ボタン位置が3つボタンよりは低いためVゾーンが強調され、シャープな印象を与える主流なタイプ。1番上のボタンのみ留めるのが正しい着こなし方。

3つボタンシングル

3つボタン

第1ボタンの下あたりからラペルの返しが始まっている段返りのスタイルが主流。真ん中一つ掛けだけで着用するのがスタイリッシュで正しい着こなし方。

ダブル(ダブルブレステッド)

ダブル

前ボタンの並びが二列あり、ジャケットの合わせ部分を大きく重ね合わせるデザインのスーツ。ボタンの数は6つボタン2つ掛けや4つボタン1つ掛けなどがあり、フォーマルな印象を与えます。

1つボタンシングル

1つボタン

Vゾーンが広いため全体のシルエットも細身に作られていることが多く、ドレッシーな印象に。パーティーやナイトシーンにおすすめです。

ラペル(衿)の仕様について

襟のゴージラインから下の部分をさします。ラペルの形や幅、きざみの角度でスーツ全体の印象がとても変わってくる重要な部分です。

1. ゴージライン

スーツの上襟と下襟で構成される線のことをさします。一般的にゴージラインが高いのは英国的、低いのはイタリア的なスーツとされています。

2. ラペル

ノッチドラペル

ノッチは「V字型の刻み」という意味。下襟の先が下がった デザインで最も一般的な定番のラペルです。

ピークドラペル

ピークドとは「先の尖った」という意味。下襟の先が尖っているのが特徴です。ダブルスーツに多くドレッシーなスタイルにも対応します。

3. フラワーホール

フラワーホールとはラペルに空いているボタンホールのこと。風よけの為、ジャケットの衿を立てていた時のボタンホールの名残のデザインです。イギリスのエドワード皇太子が、この穴に花を挿していたことからフラワーホールと呼ばれるようになったという説があります。
社章やブローチ、ラペルピンなどを挿して使用します。

ラペル(衿)の種類について

ナローラペル

ナローラペル

幅5cm~7.5cm程の細めのラペル。スタイリッシュな印象に。

レギュラーラペル

レギュラーラペル

幅8cm~8.5cm程のラペル。平均的なラペル幅です。

ワイドラペル

ワイドラペル

幅9cm~以上の太めのラペル。風にあおられないよう、固く重く加工していることも。

裏地の仕様について

スーツの見ごろや袖全体に裏布をつけたのが総裏。前身頃は全体に、後ろ身頃は肩部分にだけ裏地をつけたのが背抜きです。
総裏の方が丈夫で透けない等メリットがありますが、高温多湿な日本では背抜きが一般的な仕様となっています。

総裏仕立て

総裏仕立て

背抜き仕立て

背抜き仕立て

お台場仕立て

お台場仕立て

内ポケットの縁の部分を表地で囲ってある仕様のことを「お台場仕立て」といいます。内ポケットの補強、ジャケットの型崩れ防止などのメリットがあります。

ポケットの仕様について

フラップポケット

フラップポケット

フラップとはポケットのフタのことで、スーツでは主流なタイプです。型崩れの原因となるため物は入れないようにしましょう。

スラントポケット

スラントポケット

乗馬服の名残で、脇から中央にかけ斜めにあがっているデザイン。ハッキングポケットともいわれ、シャープな印象を与えます。

チェンジポケット

チェンジポケット

通常のフラップポケットの上に、もう1つポケットを配置したデザイン。コインやチケットを入れるため考案されたといわれ、クラシカルな印象を与えます。

袖口の仕様について

開き見せ

開き見せ

開き見せとは、実際には開け閉めができない飾りの袖ボタンをさします。スーツでは一般的なタイプです。

本切羽

本切羽

本切羽とは、袖口が実際に開閉できる仕様のこと。腕をまくって着崩すディテールの名残といわれます。

バック・裾部分の仕様について

センターベント

センターベント

中央に1か所切れ込みがあるデザイン。乗馬をする際動きやすいよう考案されたものといわれます。スポーティな印象を与える主流な仕様です。

サイドベンツ

サイドベンツ

両端に切れ込みがあるデザイン。英国スーツによく見られ、センターベントよりも動きやすく、突っ張った感じがなくなります。

ノーベント

ノーベント

切れ目が入っていないデザイン。エレガントな印象を与え、冠婚葬祭などのフォーマル用に適しています。

その他の用語

AMFステッチ

AMFステッチとは、襟に入った手縫い風のステッチ(ハンドステッチ)を再現したもの。AMFとは「アメリカン・マシン・アンド・ファンドリー」社というアメリカの大手機械メーカーの略称で、このメーカーのミシンを使い付けたステッチのためこの名称がついた。
見栄えもよく、衿を落ち着かせることでラペルの形をきれいに保つ効果があります。

ピンポンステッチ

ピンポンステッチとはジャケットの裏地のふちの部分に入れたカラーステッチのこと。さり気なくお洒落に。

D管留め

D管留めとは、ポケットの入り口の部分など、綻びやすい部分を補強するステッチのこと。強度、耐久度が高まります。「D」の文字の形に見えることから、D管留めと呼ばれています。

キッスボタン

ボタンの間隔が狭く重なっており、キスしているように見えることからキッスボタンと呼ばれます。重ねボタン、寄せボタンとも呼ばれます。高い仕立て技術を要するディテールとされています。

アームホール

袖ぐりのこと。

ベント

ジャケットの後ろ身頃の裾に入っているスリットのこと。真ん中に1本入ったものはセンターベント、両サイドに入ったものはサイドベンツ。スリットが入っていないものはノーベントという。